フクロウ通信

2019.07.16

フクロウ通信

2019年度公益事業 研修会特別講演会「本当の依存症の話を聞こう」

本当の依存症の話を聞こう

7月15日、にぎわい交流施設ハピリンにて「本当の依存症の話を聞こう」と題し保健医療に関する研修会特別講演会を開催しました。ハピリンホールでの開催は今年で4回目となります。

講師には国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部 部長 兼 同センター病院薬物依存センター センター長である松本俊彦先生をお招きし、「人はなぜ薬物依存になるのか~回復のために必要なもの~」という演題でご講演いただきました。松本先生は薬物依存になる要因を「苦痛の緩和」と分析し、「快感の享受ならすぐ飽きる。心がしんどい人、つらい人が依存症になりやすく、回復しにくい」と話し、依存症患者の多くは自己評価が低く「人は自分を裏切るが、薬は自分を裏切らないと考えている」と指摘され、また「依存症は安心して人に依存できない病気」と解説しました。

日本の社会では依存症患者の排除と孤立が進んでいると懸念したうえで「回復するためには、叱られるのではなく褒められる場所が必要。薬をやめるのは簡単だけど、やめ続けることは難しい。治療の継続が一番大事。薬物依存症の患者を孤立させず、つながっていく事が大切」と述べられました。

来場者は医療・福祉関係から司法、行政、教育関係、学生や依存症の当事者・ご家族まで、また10代から70代まで幅広く、計208名の方に聴講頂きました。「大変わかりやすかった」、「2時間アッというまでした、話のリズムがとてもよくすごく理解できました」と多くの方に薬物依存の理解をいただけたと感じています。

また、「薬物依存への考え方が変わった」、「依存症の方への接し方が変わる」、「今までの依存症の考え方が問題だと思った」との意見も多く、薬物依存者に対する偏見がある事や、刑罰だけでなく治療の必要性と可能性を感じて頂けたと思います。昨今、芸能人の薬物問題が話題になる中で、とてもタイムリーな話題であり、社会の関心の高さを感じました。